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日本は、暗号資産の交換業に登録制を導入した最初期の国の一つです。2017年の改正資金決済法から始まり、2020年の顧客保護の強化、ステーブルコインを扱う「電子決済手段」の制度を経て、2026年7月15日には暗号資産を金融商品取引法の対象に移す改正法が成立しました。このページでは、誰が何を監督しているのか、何が許されているのか、そしてこれから何が変わるのかを、金融庁と法律事務所の公表資料から整理します。
日本で暗号資産は合法ですか?
合法です。暗号資産の売買や保有は禁止されておらず、資金決済法上の「暗号資産」として法律で定義されています。ただし、円などの法定通貨と暗号資産を交換するサービスを日本で提供するには、金融庁・財務局への暗号資産交換業の登録が必要です。2026年9月30日現在、登録業者は27社です。
金融庁は、暗号資産は国が価値を保証する法定通貨ではなく、インターネット上でやりとりされる電子データであると説明しています。代金の支払いに使うこともできますが、SBI VCトレードの重要事項の説明にあるように、暗号資産は支払いを受ける側の同意がある場合に限って代価の支払いに使えます。円のように誰もが受け取りを拒めない通貨とは扱いが違います。
日本の暗号資産規制はどのように変わってきましたか?
日本の規制は、大きな事件のたびに段階的に強化されてきました。2017年4月1日に交換業の登録制が始まり、2020年5月1日には呼び名が「仮想通貨」から「暗号資産」に変わると同時に、顧客資産のコールドウォレット管理やデリバティブの規制が導入されました。2026年には金融商品取引法への移管を柱とする改正法が成立しています。
| 時期 | 主な出来事 | 内容 |
|---|---|---|
| 2014年 | マウントゴックスの破綻 | 当時の大手取引所が破綻し、利用者保護の議論が始まる |
| 2017年4月1日 | 改正資金決済法の施行 | 仮想通貨と法定通貨の交換サービスに登録制を導入 |
| 2018年1月 | コインチェックからのNEM流出 | 約580億円相当が流出し、1月29日に業務改善命令 |
| 2020年5月1日 | 改正資金決済法・金融商品取引法の施行 | 名称を暗号資産に変更、顧客資産の95%以上のコールドウォレット管理、日本円の信託義務、デリバティブは第一種金融商品取引業の登録が必要に |
| 2024年5月 | DMM Bitcoinからの流出 | 約482億円相当が流出、2024年12月に警察庁がTraderTraitorによる犯行と特定 |
| 2025年3月4日 | 電子決済手段等取引業者の初登録 | SBI VCトレードが登録され、USDCなどの取り扱いが可能に |
| 2026年7月15日 | 金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律の成立 | 暗号資産を金融商品取引法の対象に移し、インサイダー取引規制などを導入 |
日本で暗号資産を監督しているのは誰ですか?
監督の中心は金融庁で、暗号資産交換業者の登録や日常の監督は、本店所在地を管轄する財務局が担います。2026年9月30日現在の登録業者27社のうち25社が関東財務局、2社が近畿財務局の所管です。業界の自主規制は、日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)が担っています。
税務は国税庁、サイバー攻撃の捜査は警察庁と都道府県警察が担当します。DMM Bitcoinの事件では、警察庁、関東管区警察局サイバー特別捜査部、警視庁が捜査と分析を行い、米国のFBIや国防総省サイバー犯罪センター(DC3)と共同で攻撃者を特定しました。金融庁と内閣サイバーセキュリティセンターは、手口と対策をまとめた注意喚起を公表しています。
- 金融庁・財務局:登録、検査、行政処分(業務改善命令など)
- 日本暗号資産等取引業協会(JVCEA):自主規制、統計の公表、利用者からの相談(03-3222-1061)
- 国税庁:課税の取扱い、CARFに基づく情報交換
- 警察庁:サイバー攻撃や詐欺の捜査
取引所にはどんな義務が課されていますか?
登録業者は、預かった日本円を信託会社や信託銀行に信託し、預かった暗号資産の95%以上を常時インターネットに接続しない環境で管理する義務を負います。オンラインで管理する分は円換算で5%までに制限され、その分と同種同量の暗号資産を「履行保証暗号資産」として自社で保有しなければなりません。個人向けの証拠金取引のレバレッジは2倍が上限です。
このほか、本人確認とマネーロンダリング対策、送付時のトラベルルールへの対応が求められます。トラベルルールは、暗号資産を送る業者が送付依頼人と受取人の一定の情報を受け取り側の業者に通知するルールで、国内取引所はこれに対応していない一部の海外業者への送付を受け付けていません。詳しくは取引所の安全性とウォレットへの移し方で解説しています。
海外の取引所を使うことは違法ですか?
日本居住者を相手に無登録で暗号資産交換業を行うことは、資金決済法違反です。金融庁は該当する業者の名称を公表しており、Bybit、MEXC、Bitget、KuCoin、LBank、BitForex、Binance Holdings Limitedなどが一覧に載っています。罰則の対象は無登録で営業する業者側で、利用者は日本の制度による保護を受けられないというリスクを負います。
無登録営業の罰則は、現行の資金決済法では最長3年・300万円ですが、2026年の改正法で10年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金に引き上げられます。最新の警告は2026年9月のIzakaya Limitedに対するものです。登録業者と警告業者の一覧は国内取引所の選び方にまとめています。
2026年の改正法で何が変わりますか?
2026年7月15日に成立した「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」は、暗号資産の売買などに関する規制を資金決済法から金融商品取引法に移し、暗号資産を有価証券とは別の「金融商品」として位置づけます。暗号資産交換業は「暗号資産取引業」に改められ、インサイダー取引規制の新設や、新しい暗号資産を販売するときの情報公表の義務化などが盛り込まれています。
| 項目 | 改正前(資金決済法中心) | 改正後(金融商品取引法へ移管) |
|---|---|---|
| 暗号資産の位置づけ | 資金決済法上の暗号資産(決済手段としての整理) | 有価証券とは異なる金融商品 |
| 業者の名称 | 暗号資産交換業者 | 暗号資産取引業者 |
| インサイダー取引 | 暗号資産に固有の規制なし | インサイダー取引規制を新設 |
| 情報開示 | 業界の自主規制が中心 | 新規販売時の情報公表を発行者や業者に義務づけ |
| 無登録営業の罰則 | 最長3年、300万円以下 | 10年以下の拘禁刑、1,000万円以下の罰金 |
| 税制との関係 | 雑所得として総合課税 | 施行の翌年1月1日から一定の取引に20%の申告分離課税 |
法案は2026年4月10日に国会に提出され、7月15日に成立しました。暗号資産の規制に関する規定は、公布の日から1年以内に施行されます。施行日は政令で定められ、その日の属する年の翌年1月1日から、暗号資産取引業者に対する一定の暗号資産の譲渡が20%の申告分離課税になります。税の詳細は暗号資産の税金で説明しています。
なぜ暗号資産を金融商品取引法に移すのですか?
金融庁の税制改正資料は、国内外の投資家による暗号資産への投資が増えている一方、有価証券の取引と違って暗号資産の所得は総合課税とされている点を問題として挙げ、投資家保護のための法整備と課税の見直しを一体で進める方針を示しています。暗号資産が決済手段より投資対象として使われている実態に、規制の枠組みを合わせる狙いがあります。
金融商品取引法には、株式などで使われてきたインサイダー取引規制や、不公正取引に対する課徴金の仕組みがあります。これを暗号資産にも適用することで、発行者や業者が未公表の重要な情報を使って売買するような行為を取り締まれるようになります。金融庁の資料は、諸外国の動向も踏まえて、日本でも暗号資産ETFを組成できるよう検討するとしています。
ステーブルコインはどのように規制されていますか?
法定通貨と価値が連動し、券面額での償還を約束するタイプのステーブルコインは、資金決済法の「電子決済手段」として暗号資産とは別に規制されています。これを売買や仲介する業者は電子決済手段等取引業の登録が必要で、2026年8月27日時点で登録されているのはSBI VCトレードとコインチェックの2社です。扱う銘柄はUSDC、RLUSD、JPYSCで、USDTは含まれていません。
日本円建てのJPYCは、資金移動業者のJPYC株式会社(関東財務局 第00099号)が資金移動業型の電子決済手段として発行しています。DAIのように法定通貨の預金で裏付けられていないものは、暗号資産として扱われます。詳しくはUSDT・USDC・JPYCの違いを参照してください。
税務当局への報告制度はどうなっていますか?
OECDの国際基準であるCARF(暗号資産等報告枠組み)に基づき、2026年1月1日から、国内の暗号資産交換業者等と取引する人は居住地国などを記載した届出書を業者に提出する必要があります。業者は2027年以後、毎年4月30日までに非居住者の取引情報を税務署長に報告し、その情報は租税条約に基づいて各国の税務当局と交換されます。
国内の居住者については、取引所が交付する年間取引報告書に加え、2026年の税制改正大綱で、暗号資産取引業者に取引の報告書を税務当局へ提出させる義務を整備する方針が示されています。日本の税務当局は、国内外の両方から暗号資産取引の情報を把握できるようになっていきます。
日本で暗号資産ETFは買えますか?
2026年11月時点では、日本国内でビットコインなどの暗号資産を投資対象とするETFは組成されていません。金融庁の令和8年度税制改正の資料は、暗号資産ETFは現在は組成できず、投資信託法施行令の改正が必要だと説明しています。そのうえで、政令改正によって組成を可能にし、分離課税20%の対象とする方針を示しています。
米国などではビットコインの現物ETFが取引されていますが、日本の投資家が国内の証券口座で同じように売買できるようになるには、政令の改正と商品の組成を待つ必要があります。ETFが実現すれば、取引所の口座を開かずに証券会社を通じて暗号資産に投資する道が開かれることになります。海外の現物ETFの仕組みは英語の解説Spot bitcoin ETFs explainedで説明しています。
改正で利用者にとって具体的に何が変わりますか?
利用者にとっての主な変化は、不公正な取引への規制が強まること、新しい暗号資産の情報が公表されるようになること、無登録業者への罰則が重くなること、そして施行後に一定の取引の税率が最大約55%から20%に下がることの4つです。一方で、登録業者を選ぶ、資産を自分でも管理する、という基本的な自衛策の必要性は変わりません。
業者の名称は暗号資産取引業者に変わるため、施行後は取引所のサイトに表示される登録の表記も変わる可能性があります。口座を開くときは、引き続き金融庁の登録一覧で運営会社の名前と番号を確認してください。税率の引き下げも、国内の登録業者に売却した取引が中心で、海外取引所やDEXでの売却は対象外とされている点に注意が必要です。
トラブルにあったときの相談先はどこですか?
暗号資産に関する相談は、金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-016-811、IP電話からは03-5251-6811、平日10時から17時)、不審な勧誘についての消費者ホットライン188、詐欺が疑われる場合の最寄りの警察署が窓口です。登録業者とのトラブルは日本暗号資産等取引業協会(03-3222-1061)にも相談できます。
金融庁は、金融庁の職員を名乗るメールや動画、日本暗号資産等取引業協会の会員を装った勧誘、マッチングアプリやSNSを通じた投資の誘いについて注意喚起を出しています。「必ずもうかる」「元本保証」といった言葉が出てきたら、送金する前に相談窓口に連絡してください。ビットコインの基本はビットコインとはで、ほかの解説はCoinChoose日本語版トップから確認できます。このページは法律相談や投資助言ではありません。
よくある質問
日本で暗号資産の取引は禁止されていますか?
禁止されていません。暗号資産は資金決済法で定義された合法な資産で、売買や保有ができます。ただし、日本で円と暗号資産を交換するサービスを提供するには、金融庁・財務局への登録が必要です。
2026年の改正法はいつから施行されますか?
改正法は2026年7月15日に成立し、暗号資産の規制に関する規定は公布の日から1年以内に施行されます。正確な施行日は政令で定められるため、金融庁の発表を確認してください。
暗号資産は有価証券になるのですか?
なりません。2026年の改正法は暗号資産を金融商品取引法の対象に移しますが、位置づけは有価証券とは異なる金融商品とされています。そのうえで、インサイダー取引規制などが新たに適用されます。
暗号資産のレバレッジ取引は何倍までですか?
個人向けの暗号資産の証拠金取引は、レバレッジ2倍が上限です。2020年5月1日施行の改正で導入されたルールで、デリバティブを業として扱うには第一種金融商品取引業の登録が必要です。
暗号資産で給料や代金を受け取れますか?
受け取る側が同意すれば、暗号資産を代価の支払いに使うことはできます。ただし受け取った時点の時価で所得や収入が発生するため、税務上の処理が必要です。給与の扱いは国税庁のFAQに項目があります。
無登録の業者に入金してしまったらどうすればよいですか?
それ以上の送金をやめ、金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-016-811)や最寄りの警察署に相談してください。出金のために追加の手数料や税金を求められる場合は、詐欺の典型的な手口です。
出典一覧
- 01金融庁: 暗号資産の利用者のみなさまへfsa.go.jp
- 02金融庁: 暗号資産交換業者登録一覧(令和8年9月30日現在)fsa.go.jp
- 03金融庁: 電子決済手段等取引業者登録一覧(令和8年8月27日現在)fsa.go.jp
- 04金融庁: 無登録で暗号資産交換業を行う者の名称等について(海外所在業者)fsa.go.jp
- 05金融庁: 第221回国会における金融庁関連法律fsa.go.jp
- 06金融庁: 令和8(2026)年度税制改正についてfsa.go.jp
- 07長島・大野・常松法律事務所: 暗号資産に係る規制・税制の改正の内容(1)nagashima.com
- 08PwC Japan: 暗号資産に係る2026年金商法等改正法の成立pwc.com
- 09法律事務所ZeLo(JBA資料): 改正資金決済法を考えるjba-web.jp
- 10e-Gov法令(日本法令外国語訳データベース): 暗号資産交換業者に関する内閣府令japaneselawtranslation.go.jp
- 11警察庁: TraderTraitorによる暗号資産関連事業者を標的としたサイバー攻撃についてnpa.go.jp
- 12ITmedia NEWS: 「コインチェック」業務改善命令 金融庁は何を問題視?itmedia.co.jp
- 13国税庁: CARF(暗号資産等報告枠組み)コーナーnta.go.jp
- 14GMOコイン: トラベルルールについてcoin.z.com
- 15SBI VCトレード: 手数料一覧(取引の注意点を含む)sbivc.co.jp
- 16JPYC株式会社: JPYC EX(公式サイト)jpyc.co.jp
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