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日本では、暗号資産の売却益などは現在、原則として「雑所得」として給与などと合算する総合課税の対象で、所得税と住民税を合わせた税率は最大で約55%になります。一方、2026年7月15日に成立した改正金融商品取引法の施行後には、国内の登録業者が扱う一定の暗号資産の譲渡益を20%の申告分離課税とする制度が始まる予定です。このページでは、国税庁と金融庁の資料をもとに、いまの計算方法と今後の変更点を順に整理します。
暗号資産の利益にはどんな税金がかかりますか?
国税庁のFAQによると、暗号資産取引で生じた利益は所得税の課税対象で、原則として雑所得(その他雑所得)に区分されます。その年の暗号資産取引の収入金額が300万円を超える場合は、帳簿書類を保存していれば原則として事業所得、保存していなければ業務に係る雑所得になります。どれも給与などとの総合課税です。
総合課税では、暗号資産の所得を給与所得などほかの所得と合計し、その合計額に応じた累進税率で所得税を計算します。所得税の税率は5%から45%までの7段階で、これに住民税(一律10%)と、所得税額の2.1%の復興特別所得税が加わります。最も高い区分では、所得税45%と住民税10%で合計約55%になります。
| 課税される所得金額 | 所得税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000円から1,949,000円まで | 5% | 0円 |
| 1,950,000円から3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
| 3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
| 6,950,000円から8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
| 9,000,000円から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
| 18,000,000円から39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
| 40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
この速算表は国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在の法令等)によるものです。たとえば課税所得が500万円なら、所得税は500万円×20%-427,500円=572,500円と計算します。国税庁は、令和8年度の税制改正で令和9年から復興特別所得税の税率が引き下げられ期間が延長されるものの、防衛特別所得税と合わせた税率は変わらないとしています。
どんなときに暗号資産の税金がかかりますか?
税金の対象になるのは、利益が確定したときです。国税庁のFAQは、暗号資産を売却した場合、暗号資産で商品を購入した場合、暗号資産同士を交換した場合に、それぞれ損益を計算するとしています。日本円で暗号資産を買っただけのときや、自分の口座やウォレットの間で移しただけのときは、利益は確定しません。
| 取引 | 課税の有無 | 考え方 |
|---|---|---|
| 日本円で暗号資産を購入 | なし | 取得価額として記録しておく |
| 暗号資産を売却して日本円にする | あり | 売却価額から取得価額を引いた差額が所得 |
| 暗号資産同士を交換(例:BTCでETHを購入) | あり | 手放した暗号資産を交換時の時価で譲渡したものとして計算 |
| 暗号資産で商品やサービスを購入 | あり | 支払いに使った暗号資産を譲渡したものとして計算 |
| マイニング、ステーキング、レンディングで取得 | あり | 取得時点の時価が収入になり、要した費用は必要経費 |
| 自分の取引所口座からウォレットへ移す | なし | 持ち主が変わらないため |
暗号資産同士の交換が課税対象になる点は、見落とされやすい部分です。たとえばビットコインでイーサリアムを買った場合、日本円に戻していなくても、手放したビットコインの値上がり分が所得になります。ウォレットの中でトークンを交換する取引も同じ考え方なので、頻繁に交換する人ほど記録の管理が重要になります。
暗号資産の所得はどうやって計算しますか?
所得金額は、売却価額などの収入金額から、売った暗号資産の取得価額と必要経費を差し引いて計算します。取得価額の計算方法には「総平均法」と「移動平均法」があり、どちらかを選んで税務署に届け出ます。届出をしない場合、個人は総平均法で計算することになっています。一度選んだ方法を変えるには、変更承認申請書の提出が必要です。
- 総平均法:1年間に買った同じ暗号資産の購入総額を購入総量で割り、1単位あたりの取得価額を年に1回まとめて計算します。
- 移動平均法:同じ暗号資産を買うたびに、それまでの保有分と合わせた平均単価を計算し直します。
計算例(例として示す数値です):ある年に1 BTCあたり500万円で0.2 BTC(100万円)と、1 BTCあたり700万円で0.2 BTC(140万円)を買い、そのあと0.2 BTCを1 BTCあたり800万円(160万円)で売ったとします。総平均法では、年間の平均単価は(100万円+140万円)÷0.4 BTC=1 BTCあたり600万円なので、売った0.2 BTCの取得価額は120万円、所得は160万円-120万円=40万円です。移動平均法でも、この例のように売却が2回目の購入より後なら平均単価は同じになりますが、売却と購入の順番によって結果が変わることがあります。
国税庁は、取引所から送られてくる「年間取引報告書」をもとに、国税庁ホームページに掲載している「暗号資産の計算書(総平均法用・移動平均法用)」を作れば、計算を簡単にできると案内しています。複数の取引所を使っている場合は、すべての報告書を合わせて計算します。
暗号資産の損失はほかの所得と相殺できますか?
現在の制度では相殺できません。国税庁のFAQによると、雑所得の計算上生じた損失は、給与所得など他の所得から差し引く(通算する)ことはできません。他の所得と通算できる損失は、不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得の計算上生じたものに限られるためです。また、現行制度には暗号資産の損失を翌年以降に繰り越す仕組みもありません。
同じ年の暗号資産同士の利益と損失は、雑所得の中で合算できます。たとえばビットコインで30万円の利益、別の銘柄で10万円の損失が出た年は、雑所得は差し引き20万円になります。しかし、暗号資産全体で損失になった年でも、その損失を給与から差し引いたり、翌年の利益と相殺したりすることはできません。この点は、改正後の申告分離課税で大きく変わる予定です。
会社員は暗号資産の利益がいくらから確定申告が必要ですか?
給与を1か所から受け取り年末調整を受けている会社員は、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。暗号資産の利益は収入ではなく、取得価額や経費を引いた所得金額で判定します。給与の年間収入が2,000万円を超える人は、金額にかかわらず確定申告が必要です。
確定申告の期限は原則として翌年3月15日です。令和7年分(2025年の所得)の所得税の申告と納付の期限は、2026年3月16日(月)でした。20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の扱いは別に定められているので、お住まいの市区町村の案内を確認してください。
個人事業主や年金受給者など、会社員以外の人の申告要件は異なります。副業の所得と暗号資産の所得を合わせて20万円を超えるかどうかも判定の対象になる点に注意してください。
2026年の改正で暗号資産の税金はどう変わりますか?
金融庁がまとめた令和8年度税制改正大綱の概要によると、金融商品取引法などの改正を前提に、居住者が「暗号資産取引業者」の扱う暗号資産をその業者に対して譲渡した場合の所得を、上場株式などと同じ20%の申告分離課税とします。暗号資産デリバティブ取引と暗号資産ETFも分離課税の対象とし、損失は3年間繰り越して控除できるようになります。
| 項目 | 現行制度 | 改正後(施行後) |
|---|---|---|
| 所得の区分 | 原則として雑所得 | 一定の暗号資産の譲渡は譲渡所得 |
| 課税方式と税率 | 総合課税、所得税と住民税で最大約55% | 申告分離課税20%(所得税15%、住民税5%、別に復興特別所得税) |
| 損失の扱い | 他の所得と通算できず、繰越もできない | 分離課税の対象取引の損失は3年間の繰越控除 |
| 暗号資産デリバティブ | 雑所得、総合課税 | 一定の暗号資産を原資産とするものは申告分離課税20% |
| 暗号資産ETF | 国内では組成できない | 政令改正により組成可能とし、申告分離課税20% |
| 対象外のもの | なし(すべて総合課税) | DEXや海外取引所での売却、マイニングやステーキングの報酬などは総合課税のまま |
分離課税の対象になるのは、国内の登録業者が取り扱う暗号資産を、その業者に対して売却等した場合に限られます。DEX(分散型取引所)や海外取引所での売却、国内業者が扱っていない銘柄の売却は、引き続き総合課税になると解説されています。マイニング、ステーキング、レンディングで得た暗号資産も対象外と整理されています。
あわせて、暗号資産取引業者に対して、取引に関する報告書を税務当局に提出する義務が整備される予定です。これまでの年間取引報告書は利用者への交付が中心でしたが、今後は税務当局が取引所を通じて取引情報を把握する仕組みが強化されます。
20%の分離課税はいつから始まりますか?
開始時期は、改正金融商品取引法の施行日で決まります。改正法は2026年7月15日に成立し、暗号資産に関する規定は公布の日から1年以内に施行されます。分離課税は施行日の属する年の翌年1月1日以後の取引に適用される仕組みで、辻・本郷税理士法人は2027年中の施行と、2028年1月1日からの適用開始を見込んでいます。
施行が2026年中になれば、適用は2027年1月1日からになります。改正前に買った暗号資産でも、適用開始後に国内の登録業者に売却すれば対象になると解説されています。正確な施行日は政令で定められるため、金融庁と国税庁の発表を確認してください。それまでの取引は、現行の総合課税で申告します。
税率が下がることで、所得の多い人ほど負担の差は大きくなります。例として、課税所得が700万円の会社員が暗号資産で100万円の所得を得た場合、現行では所得税23%と住民税10%で約33万円(復興特別所得税を除く)、改正後の分離課税では20%で約20万円(同)という計算になります。実際の税額は控除や他の所得によって変わります。
CARFや取引所の報告制度で何が変わりますか?
CARF(暗号資産等報告枠組み)は、非居住者の暗号資産取引の情報を各国の税務当局が自動的に交換するためのOECDの国際基準です。日本では令和6年度の税制改正で導入が決まり、2026年1月1日から国内の暗号資産交換業者等と取引する人は、居住地国などを記載した届出書を業者に提出する必要があります。業者は2027年以後、毎年4月30日までに対象者の情報を税務署長に報告します。
国税庁のCARFコーナーによると、2025年12月31日時点ですでに取引をしている人も、居住地国の情報などを届け出る対象です。日本の居住者であれば、報告されるのは主に外国の居住者の情報で、国内の居住者の取引は国内の年間取引報告書や、改正後の報告制度を通じて把握されることになります。取引所から届出の案内が来たら、期限内に手続きをしてください。
申告の準備として何をしておけばよいですか?
準備としては、使っているすべての取引所から年間取引報告書をダウンロードする、ウォレットでの交換やNFTの取引を記録する、計算方法(総平均法か移動平均法か)を決める、の3つが基本です。記録がないと取得価額がわからず、所得を正しく計算できません。国税庁は、取得価額や売却価額がわからない場合の対応もFAQで説明しています。
- 年間取引報告書:国内の取引所は1年分の取引をまとめた報告書を交付しています。手元にない場合は取引所に再交付を依頼できます。
- ウォレットの記録:取引所の外での交換は報告書に載らないため、日時、数量、その時点の価格を自分で記録します。
- 相続と贈与:暗号資産も相続税や贈与税の対象になり、国税庁のFAQに評価方法が示されています。
税金の扱いは個々の状況で変わるため、金額が大きい場合は税理士や税務署に相談するのが確実です。購入の手順はビットコインの買い方、手数料の比較は取引所の手数料比較、法改正の全体像は日本の暗号資産規制で解説しています。ほかのページはCoinChoose日本語版トップから探せます。このページは税務助言や投資助言ではありません。
よくある質問
暗号資産の利益が20万円以下なら税金はかかりませんか?
20万円以下で確定申告が不要になるのは、年末調整を受けている会社員の所得税の場合です。所得そのものが非課税になるわけではなく、住民税の扱いは別に定められています。お住まいの市区町村の案内を確認してください。
暗号資産同士の交換でも税金がかかりますか?
かかります。国税庁のFAQは、暗号資産同士を交換した場合、手放した暗号資産を交換時の時価で譲渡したものとして損益を計算するとしています。日本円に戻していなくても、値上がり分が所得になります。
暗号資産の損失は翌年に繰り越せますか?
現行の雑所得では繰り越せず、給与など他の所得と通算することもできません。改正金融商品取引法の施行後に始まる申告分離課税では、対象となる取引の損失を3年間繰り越して控除できるようになる予定です。
分離課税は海外取引所での取引にも適用されますか?
適用されない見込みです。対象は、国内の登録業者が扱う暗号資産をその業者に対して売却等した場合に限られると解説されています。DEXや海外取引所での売却は、引き続き総合課税になります。
総平均法と移動平均法はどちらを選ぶべきですか?
どちらも国税庁が認める方法で、届出をしなければ個人は総平均法になります。総平均法は年に1回まとめて計算するので手間が少なく、移動平均法は取引ごとに平均単価を計算し直します。変更するには変更承認申請書が必要です。
年間取引報告書はどこで手に入りますか?
国内の暗号資産交換業者は、1年分の取引をまとめた年間取引報告書を利用者に交付しています。多くは取引所の会員ページからダウンロードでき、手元にない場合は取引所に再交付を依頼できると国税庁は案内しています。
出典一覧
- 01国税庁: 暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ、令和7年12月最終改訂)nta.go.jp
- 02国税庁: No.2260 所得税の税率nta.go.jp
- 03国税庁: No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人nta.go.jp
- 04国税庁: 確定申告特集nta.go.jp
- 05国税庁: CARF(暗号資産等報告枠組み)コーナーnta.go.jp
- 06金融庁: 令和8(2026)年度税制改正についてfsa.go.jp
- 07金融庁: 第221回国会における金融庁関連法律fsa.go.jp
- 08長島・大野・常松法律事務所: 令和8年度税制改正大綱②:暗号資産取引の分離課税nagashima.com
- 09長島・大野・常松法律事務所: 暗号資産に係る規制・税制の改正の内容(1)nagashima.com
- 10辻・本郷税理士法人: 仮想通貨の税金が20%に!分離課税の開始時期と適用要件ht-tax.or.jp
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